MEERのミッションは、暑さへの適応と緩和のための実用的かつスケーラブルなソリューションを提供することです。私たちの素材はパッシブクーリングシステムを備えており、人々、農場、動物の健康と幸福を促進するとともに、地球規模での気温低減にも貢献します。


MEER(Mirrors for Earth’s Energy Rebalancing)は、地域および地球規模での気温上昇を緩和することを目的に活動している非営利組織です。熱の有害な影響や地球温暖化の進行について広く認知されている一方で、将来的な温暖化の潜在的な影響はまだ十分に理解されていません。特に、石炭火力発電所や船舶からのエアロゾルの最終的な除去に関してはその傾向が顕著です。これらのエアロゾルは有害ではあるものの、太陽光を宇宙に反射して冷却効果をもたらしてきました。これらが除去されると、すでに避けられないとされる2~3℃の温暖化に加え、さらに1.2℃以上の追加的な温暖化が起こる可能性があります。このままの軌道が続けば、地球の平均気温は3~4℃以上上昇する恐れがあります。
MEERは、このような潜在的に壊滅的なシナリオに対処するため、気温を即時に下げる解決策を実行しつつ、同時に脱炭素化に取り組むことを目的に設立されました。私たちの主要な使命は、今世紀末までに地球のエネルギーバランスを回復し、気候変動に効果的に立ち向かうことです。この野心的な目標を達成するには、特に「表面反射技術(Surface Reflection Technology、SRT)」の分野で、綿密かつ包括的な研究が不可欠です。私たちは慎重さを大事にし、安全かつ実現可能な調査データを確認してからのみ次のステップへと事業を進めています。気候危機の緊急性は認識しつつも、安全性と効果を担保するため、研究のペースに従って事業を行っています。
SRTのスケールアップを加速するために、私たちは世界中の主要な大学や機関と提携しています。また、フィードバックを重視し、グローバルコミュニティに対して説明責任を果たしながら、批判や提案を積極的に受け入れています。MEERは、すべての人が豊かに暮らせるより良い世界を創ることに揺るぎない決意を持っています。私たちの究極の目標は、地球とその住民の幸福を向上させ、経済的利益よりも彼らのニーズを最優先することです。この取り組みを通じて、すべての人や環境に利益をもたらす持続可能な未来の実現を目指しています。
私たちは、ビジョンの実現に向けて、あらゆる取り組みにおいて卓越性を追求します。
厳密な科学的研究から気候変動対策の実践的な実施に至るまで、常に最高水準の品質と誠実さを守り続けます。
私たちは、知識を追い求める不断の探究心と、地球およびそのすべての生命に対する深い責任感のもとに活動しています。
私たちの長期的なビジョンは、将来の世代に、ただ住めるだけでなく豊かに繁栄する地球を引き継ぐという環境保全の遺産を残すことです。
技術の進歩と生態系の保全のバランスを図ることで、人類と自然との調和のとれた関係を築くことを目指しています。
私たちはMEERを希望と想像力の象徴として位置づけています。積極的かつ革新的な行動が意味のある変化を生み出せることをMEERは示しています。
教育やアドボカシー(政策提言・啓発活動)を通じて、気候変動への対応の緊急性についての認識を高め、私たちの使命に共に取り組む仲間を増やしていくことを目指しています。
MEERは、地球とそのすべての生命のウェルビーイング(幸福・健やかさ)の促進に取り組んでいます。私たちは、すべての人が健康で持続可能な環境の中で、存分に可能性を発揮できる世界の実現を目指しています。とりわけ、最も脆弱な立場にある人々のニーズを優先し、誰ひとり取り残さない包摂的かつ公平なソリューションを提供することを大切にしています。
私たちは、透明性と説明責任を重視し、グローバルなコミュニティからの意見や提案を大切にする組織を目指しています。オープンな対話とフィードバックを促進することで、信頼関係を築き、私たちの行動が支援対象となる人々のニーズや価値観にしっかりと合致するよう努めています。この説明責任に対する姿勢は、厳格な研究基準と倫理的な実践への揺るぎない取り組みに反映されます。
私たちのビジョンには、研究者、科学者、政策立案者、そして地域社会が一丸となって共通の使命に取り組む、協調的な国際的努力が描かれています。私たちは、世界中の有力な大学や団体との連携を通じて、気候技術の進歩を牽引し、科学研究の最前線に立つことを目指し、共に気候変動と闘うための効果的な戦略を開発・実行していきます。
私たちは、地球の気温が安定し、気候変動の悪影響が大幅に軽減された未来を思い描いています。最先端の地表反射技術(Surface Reflection Technology:SRT)などの革新的な手法を通じて、過剰な熱を削減し、壊滅的な気温上昇を防ぎ、安定した気候をもたらすことを目指しています。
MEER(Mirrors for Earth’s Energy Rebalancing)は、革新的かつ持続可能なソリューションによって地球のエネルギーバランスを回復させ、次世代のために地球を守ることを使命としています。私たちは、人間の知恵と自然が調和する世界、そしてすべての人がしなやかに生きられるグローバルコミュニティの実現を願っています。
長年にわたる観察、理論の構築、そしてモデルの開発を通じて、科学者たちは地球の気候システムについて深い理解を得てきました。現在では、人間の活動、特に温室効果ガスの排出が気候変動の原因であることが広く受け入れられています。
地球は現在、深刻な正のエネルギー不均衡に直面しています。この不均衡により、海洋や大気中に蓄積されている熱量は400テラワットにも達しており、これは人類文明が消費するエネルギーの20倍に相当します。このことが「地球温暖化」あるいは「人為的気候変動」として知られる温暖化傾向を引き起こしています。多くの研究者や一般市民が、異常気象、熱中症、干ばつ、農作物の不作、国内避難民の発生、生態系の崩壊といった影響の可能性に対して、ますます懸念を深めています。この現象は、地球上の大多数の人々の生存期間中に広範な苦しみをもたらす可能性があります。私たちは自信をもって、「気候変動の影響はすでに現れており、今後さらに深刻化していく」と言うことができます。
気候変動による悪影響は、人間の健康にとって深刻な危険をもたらします。特に高温多湿な地域では、その影響が顕著です。こうした地域に住み、適切な冷房設備にアクセスできない人々は、重篤な場合には致命的となることもある高体温症(ハイパーサーミア)を発症するリスクが高まります。気温の上昇により、食料の生産や淡水の確保が困難になり、生活環境や気候条件がより過酷なものとなっています。
残念ながら、グローバルサウスに住む多くの人々は電力へのアクセスがないため、地球温暖化による極端な高温の影響をより受けやすい状況にあります。さらに、人口がかつてないスピードで増加している都市部ではヒートアイランド現象により高温の健康被害が深刻化しています。
冷房へのアクセスは、極端に暑い環境に住む人々にとって必須なものであり、人権でもあります。MEER Coolingは、環境を守りながら人々の福祉を促進する持続可能な解決策を提供します。
2018年、イエ・タオ博士はハーバード大学の名門ローランド研究所で研究室を率いていました。気候危機に植物プランクトンで対処するという提案を聞いたことをきっかけに、自身が従事していたナノサイエンスの研究が、世界が今まさに必要としているインパクトをもたらすものなのかを深く考えるようになりました。
地球の大気中に過剰に存在する炭素がもたらす深刻な影響に気づいたことで、彼の研究者としての道は大きく変わりました。環境保全への強い情熱に突き動かされ、タオ博士はMEER(Mirrors for Earth’s Energy Rebalancing)を設立、太陽光を宇宙へ反射させる無害な地表反射材の開発を通じて二酸化炭素による温室効果を打ち消し、地球上の生命を守ることを目的に活動しています。2021年、彼は大学でのナノサイエンス研究を一時中断し、人類の生存環境を守るための革新的なソリューション開発に専念することを決意しました。
当時はまだ、地表の反射率を高める技術も、大規模な適応・緩和の実証実験も存在していませんでした。MEERはこの知識の空白を埋めるために設立され、必要な現地調査を行っています。
現在、MEERは科学者、エンジニア、ボランティア、プロジェクトマネージャー、学生、支援者など、国際的な専門家チームで構成されており、強い使命感をもって気候変動の緩和と適応の推進に取り組んでいます。
MEERは近年、最先端の地表反射型ミラーアレイ技術を開発しました。この技術は、アルミニウムを反射材としてPETプラスチックに貼り付ける構造で、反射率(アルベド)が0.85を超える非常に高効率な鏡面を実現しています。この特徴により、都市部の熱緩和、農地の蒸発抑制、貯水池の水の蒸発防止など、幅広い用途に活用することができます。
MEERのミラーは高い効果を発揮するだけでなく、環境にも優しいのが特徴です。すべてリサイクル素材から製造することが可能で、新たな技術や資源を必要とせず、環境負荷を最小限に抑えることができます。こうしたミラーは地域レベルでの利用に効果的であると同時に、グローバルな気温低下にも貢献する可能性を秘めています。大規模に展開すれば、最大で2℃の地球全体の気温低下が見込まれ、地球温暖化対策の強力な手段となるでしょう。
MEERは公平性を促進し、格差を減らすために、すべてのプロジェクトにおいて地域社会との連携を重視しています。具体的には、事前調査の実施、地域全体を対象とした説明会の開催、そして住民からの同意を得たうえでの事業開始を基本方針としています。また、MEERは関係者に対して教育的なワークショップを提供し、私たちの手法の背後にある科学的原理をわかりやすく解説します。
MEERでは、地域住民と積極的に関わる専門スタッフを雇用し、地元の熟練労働者や学生を研究実験の運営に起用しています。さらに、地元の学生に対して先進的な科学技術を教えるインターンシップも提供しており、障害を持つ方など、社会的に脆弱な立場にある人々を優先的に雇用しています。
私たちは、表面反射技術(SRT)を使ったパッシブ・クーリングに関する理解の促進を目指すとともに、発言の機会が限られてきた人々に声を届ける場を提供したいと考えています。しかし、アルベド強化に対する人々の認識に関する社会科学的研究は非常に不足しており、とりわけ気候リスクの影響が深刻な地域でこの傾向は顕著です。MEERは、これら過小評価されてきたコミュニティの視点を、査読付きの学術文献にも反映させていくことを目指しています。
気候危機は極めて不公平です。危機の原因に最も責任のない人々が、最も深刻な影響を受けているからです。特にグローバル・サウスの低所得地域では、その被害が深刻です。これは明らかに不正義であり、解決されるべき課題です。
気候変動に効果的に取り組むためには、公正性と平等性を最優先に据えることが不可欠です。MEERは、グローバル・サウスの地域社会と協力し、地域の人々がプロジェクトの企画・実施において積極的かつ中心的な役割を担えるようにする、正義にのっとったアプローチを採用しています。
私たちの目標は、地球全体の気温を下げること、そして地表アルベド(反射率)改変の研究を進めることです。これにより、広範囲にわたる導入による適応効果や気候への影響を明らかにしようとしています。地理的条件や用途によって地域ごとの反応は多様であるため、現在、アメリカ、アフリカ、インドの各地で実証実験を進行中です。今後、得られたデータを査読付きの学術誌で継続的に発表し、詳細な分析やモデル化を行うことで、地域での適応と地球規模での緩和の両方に対応する太陽光反射装置の総合的な展開計画と統合モデルの構築を目指します。
MEERは、地球のエネルギーバランスを保つことの重要性を理解しています。同時に、私たちには限られた時間・エネルギー・資源しかないという現実も認識しています。特に、北半球におけるエアロゾル汚染(太陽光を反射して地球の温暖化を一時的に抑える効果がある)については注意が必要です。仮にエアロゾルの排出が急激に減少した場合、その一時的な冷却効果(グローバル・ディミング)は数か月で消失し、地球は温室効果による強烈な熱にさらされることになります。
MEERの戦略は、リサイクル素材のみを使用するという独創的な点にあります。使用するミラーは、廃棄されたアルミ缶やプラスチックなどの再生資源から作られており、新たな資源の採掘や製造が不要です。毎年大量に廃棄されるアルミとプラスチックの過剰分を活用することで、世界中にMEERミラーを展開することが可能です。石油化学製品を含み環境に悪影響を及ぼす白色塗料とは異なり、MEERミラーには石油化学物質が一切使われておらず、環境への負荷も少なくなっています。加えて、製造コストも安く、現在の価格は1平方メートルあたり8ドルですが、将来的には1ドル以下まで低下する見込みです。さらに、MEERミラーは長寿命でメンテナンスも最小限で済みます。数十年にわたって使用可能であり、雨や風でほとんどの汚れやゴミが除去され、たまに軽く掃除をすれば十分ミラーの効果を保てます。
私たちの目標を確実に達成するためには、広範な協働が極めて重要です。MEERは、国際的な科学コミュニティと密接に連携しながら、重要課題に取り組む研究成果を相互評価しながら発表することを目指しています。また、地域コミュニティ、政府、NGO、学術機関、財団などとパートナーシップを結び、活動を推進するとともに、知見の共有を図っています。私たちの究極の目的は、MEERの取り組みを世界中に安全かつ責任あるかたちで展開していくことです。
「気温上昇は、私たちが直面する
最大かつ最も深刻な懸念事項です。」
ーイエ・タオ博士、MEER創設者兼科学部門責任者